”シロナガス島への帰還”レビュー。プレイヤー心理を巧みに操るミステリーADV

ゲーム
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この記事は作者様の許可を得て画像の掲載をしています

年末最後で良いゲームに出会いました。

今回はシロナガス島への帰還について8つの観点からレビューいたします。

「このゲームっておもしろいの?」「これだけは知っておけって予備知識はある?」といった未プレイの方から、「他の人は遊んでみてどう感じたんだろう?」という既プレイの方まで、楽しく読むことが出来たらと思います。

それでは張り切っていきましょう!

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 パラメータ

シロナガス島への帰還の情報は以下の通りです。

発売年:2020年(Steam発売時期)

ジャンル:ADV

プラットフォーム:PC(Steam)

メーカー:旅の道

発売時期ですが、実際はこれより前からコミケで配布をしていたようですね。

コミケには一度も行ったことないですが、もっと前から知っておきたかったです……

アンテナ力が足りないな~。精進します。

 やり込み具合 4.5

◆難易度:なし

◆プレイ時間:9時間

EXシナリオプレイ時間込み。全CG回収済み。

作中の雰囲気にのめり込み、止め時が分からず日付が変わろうが一気にプレイしました。

流石に全選択肢までは見ていないですが、そこはBGMが差し変わったら改めて遊びます。

もっと池田やねね子たちのお話を見てみたくなりましたね。

 ストーリー  3.5

正確なあらすじは公式サイトWikiに任せるとして……私がネタバレせずに紹介するなら?という文章です。

・とある事件から「シロナガス島」へ行くことになったよ!

・主人公は探偵の池田戦とねね子だよ!

・グロ注意だよ!(R15)

・EXシナリオでも油断するとトラウマ必至だよ!

本編クリア後にEXシナリオが解禁されます。中盤までは、緊張の連続で疲れたプレイヤーの心を癒すギャグ展開かなぁ(ワクワク)と思ってましたが……

本編におけるストーリー展開の妙についてはギミックの項目で!

 キャラクター 4.0

プレイヤーはねね子に感情移入することが多いかと思います。

様々な不安要素が散りばめられる

感情移入とはどれだけキャラクターとシンクロするかにあります。

そういった視点で見ると、探偵の池田戦よりもねね子の方が適任でしょう。

彼女は超人的な能力を持ってはいますが、どちらかと言えば池田戦よりもプレイヤーの感情移入しやすいキャラクターに仕上がっています。

それを特に感じたのはXXX(敢えて伏字)に遭遇した時でした。

直線通路、切れそうな蛍光灯……あっ(察し

池田は荒事もそれなりに対処できますが、ねね子は非力で対抗手段がありません。

何だアレは!?

ヤバいヤバいヤバい逃げないと!!

どこに隠れる?見つかったら確実に〇される…!

(余談ですが、あの選択肢はホラーゲーム経験者ほど引っ掛かるんじゃないかなぁ(笑))

この瞬間、ねね子とプレイヤーは同時に一つの感情を抱き、シンクロします。

文章化すると「未知との遭遇による恐怖、および明確な殺意からの逃避」でしょうか。

そして無事この難局を乗り越えた場合、プレイヤーの中で【単なる助手】から【共に危機を乗り越えた仲間】として格上げ、つまり感情移入が強化されるのです。

また、直後に池田の危機を救うので、池田からねね子への評価も上記になるため、作中での扱いとプレイヤーの中での評価で齟齬が発生しません。

ねね子は戦友、間違いない。

……とまぁここまでねね子を推しときながら、好きなキャラクターはリリィなんですけどねー。

誰かって?最後まで遊べば分かるさ!

 ギミック   4.5

ストーリーの項目で記述しましたが、ここで話の展開について述べたいと思います。

期待を裏切る

ミスリード・ミスディレクションが本当に上手いと思いました。

推理ゲームに限らないですが、プレイヤーとはわがままなものです。

ちょうど本ゲームをプレイする前に購入した本で、以下のように述べているので引用します。

ただし、どんな人であっても不意を突かれることを嬉しいと思えるシチュエーションが存在する。それはストーリーが予想外の方向に進むことだ。その方向が予想外の悪い方向であればサスペンスが高まり、予想外の良い方向に進めば、(たとえば突如として騎兵隊の一団が乗りこんで窮地を救ってくれたりしたら)それはそれで私たちはご機嫌になるものだ。

物語のひねり方 読者を飽きさせないプロット創作入門

本当は他にも引用したい文章がありますが、それでは単にこの本の紹介になってしまいます(笑)。

そこで、この本は小説向けに記載されていたので、ゲームに置き換えてみましょう。

確信に近い予測

意識的・無意識的にかかわらず、プレイヤーはゲームが『お約束の終わり方』で終わることを想定した上で遊びます。

悪いドラゴンに姫様が攫われたなら、最後は取り返すでしょう。

ゾンビパニックが発生したなら、最後は脱出するでしょう。

お約束、というよりゲームであるための最低限のルールとすら言えるかもしれませんね。

つまり、プレイヤーは最後の結末を確信に近い予測を持った上で遊んでいます

もしこのお約束が大した訳もなく崩れた場合、プレイヤーは「面白かった」という快感というよりも「裏切られた」という不快な気分になるでしょう。

「面白かった」という言葉の根源的要因

しかし、だからといって、結末に至る過程が平坦な場合はどうでしょうか?

つまらない」ですよね?

判断を誤り(ミスリード)、急展開の連続で最初の違和感を忘れ去せ(ミスディレクション)、運命の選択を強いられる!

あぁ、このゲームは本当に「私(プレイヤー)の思っていた結末」になるのか!?

この『予測とイベントの乖離』こそが、物語の面白さに直結すると私は考えています。

話を戻しましょう。

冒頭に述べましたが、本ゲームにおけるミスリードやミスディレクションの置き方が上手で、どれも引っ掛かりました。

プレイ中に「あーこのゲームはこういう”タイプ”ね。ならこういうオチだろうな」と予測しても、何度も裏をかかれました。

だからこそ、プレイした感想を一言で表すならば

面白かった、に尽きるわけです。

 グラフィック 3.5

正直に言って、ゲーム開始前は際立った印象を持っていませんでしたが、プレイするとその評価は大きく変わりました。

キャラクターを大きく描き背景をぼかすことで、目線をキャラクターに集中させていたり等等あるんですが、それよりもキャラクターの目がパチパチするんですよ…!

立ち絵だけでなく、イベントCGもですよ。これって凄くないですか??

ここだけgifです、動きます

普通、目がパチパチしなくても十分なのですが、ここまで手を入れる力の込み具合。

エレベーター移動描写もしっかり動かしていますし……すごいですね。

また、CGシーンがめちゃくちゃ多いです。

CG閲覧モードがありますが、シーン別で80枚以上はあります。

グロ注意ホラー注意なシーンもしっかり完備よ!

ここの描写に1枚絵欲しいなぁと思ったことがないので、逆に言えば必要な箇所には全てCGありといえるでしょう。

 音楽     2.5

フリー音源を使用されています。私も聞き覚えのあるBGMがいくつかありましたね。

しかし、今後のアップデートでオリジナルBGMに差し替えされるそうで!

楽しみです。

 まとめ    4.0

最後に良かった点と悪かった点、こんな人におススメを紹介します。

良かった点

・倍の値段を取っても良いくらいの圧倒的コスパ

・緊迫感のある展開

・より効果的に印象付ける演出

悪かった点

・EXシナリオのホラー展開に本気でビビりました……

こんな人におすすめ!

・安いけど、そこそこの時間遊べて、終わった時の満足感もあり、心の中に留まり続けるゲームを求める人

雑感

こんな人におすすめをみても分かる通り、殆どの人におすすめしたいのが本音です。

あ、でも……サービスシーンも少々あるから女性はイケるかな……?

でもそこまで気にすると、もう人によるとしか言えないかなぁ。

定価なんと500円

さらに、私が購入した時は半額セール中だったので250円でした。

いやぁ……ただただありがとうございますとしか言えないですね(笑)

クリア後の感情ですが、「いい映画を見終わった後は誰かと語り合いたい」というアレが一番近かったです。

特に最後は細かいこと関係なしに一気に展開が加速するので、余計に映画の終わり際を想像したのかもしれませんね。

心の中に溜まったこの感情、今はこの記事を書くことで消化していますが、ちょっと余りにも制御できなくて類似ゲームを探してました。

もうこの思いを鎮められるのは次回作しかないですね……

そちらの体験版も遊ばせて貰いました、完成を心より楽しみにしています。

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